6月の日銀の利上げはあるのかⅡ

前回は、総務省の発表値に日銀が激変緩和処置の影響を考慮するとコアCPIが2.8%と高くなるので値上げはあるだろうという話をした。

今回はもう少し深堀する


1.インフレの種類

実はインフレには大別すると二種類ある。ディマンドプル(消費が旺盛なため)、コストプッシュ(製造コストが上昇)

前者を良性インフレ、後者を悪性インフレ、スタグフレーションと呼ぶこともある

ディマンドプルインフレは、給与所得の増加、株/不動産価格上昇による資産効果、華美を貴ぶ風潮などで発生し、商品も高付加/高価格化が進行する。1980年代のバブルが典型

コストプッシュインフレは材料価格や人件費の上昇で価格が抑えきれずに転嫁することで発生する。現在は中東情勢の悪化や人手不足などによる人件費上昇などでこちらが発生している可能性がある


2.金利上昇の効果

金利上昇による効果は主に

①為替が円高に振れるので輸入物価の下落

②ローンのコストが高くなるので、家/車のような耐久消費財、企業の設備投資に抑制がかかる

今回のコアCPIの上昇は石油関連製品の価格上昇によるところが大きいだろうから後者の可能性がある。その場合、②の効果で景気が悪化する可能性がでてくる。


3.必要な利上げを行わなかったら

一方、スタグフレーションだからと言って放置をするとさらにまずいことが発生する可能性が出て来る

インフレ期待が生まれるという事

例えば企業が「来年も4%値上げできる」と思えば値上げ。

労働者も「来年も4%上がる」と思えば賃上げを要求。

するとインフレが自己増殖。

デフレの時代には値上げは買い控えを誘発してきたのでメーカー側は製造コストが上がっても価格に転嫁しにくかったが、今はその枷が外れてきている

6月の食品値上げ1000品目超 5月の13倍に…“中東ショック”や円安が原材料価格を押し上げhttps://news.livedoor.com/article/detail/31403685/

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直近のコアCPI上昇率が支援策の効果を除外すると2.8%という事に言及したが、一方、2026年に入り名目賃金は3%程度とこれを上回り、実質賃金もプラ転している


日本労働組合総連合会(連合)の第5回集計で、5月7日時点の回答を集計したものも高い数字を示している

・平均賃上げ率:5.05%

・平均賃上げ額:月額16,733円

・中小企業(300人未満):4.81%

・有期・パート等:6.26%(時給ベース)


そこで中央銀行は、「我々はインフレを放置しません」というメッセージとして利上げしておく必要が出て来る


・過去事例

1970年代には多くの国で、「景気が悪いから利上げできない」と考えてインフレを放置しました。

その結果、インフレ期待が定着⇒賃金・物価スパイラル⇒さらに高インフレ

となり、最終的には非常に大幅な利上げが必要になり大きなリセッションが発生した


4.米国金利と為替

為替が円安に向かうと輸入物価が上がり、インフレを加速する

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4月28日~5月27日の為替介入総額が11兆7349億円と、月間ベースで過去最大を記録した。5/30 21:40現在、ドル円が159.278となっており、介入前の水準に逆戻りしてしまった

一方米国では、米個人所得・消費支出(26年4月)-PCE価格のコア指数が前年比+3.3%と23年11月以来の高水準これでこれ以上の利下げをする期待はなくなった一方、逆に利上げを検討する動きも出ている

FRB当局者、エネルギーショック長期化なら利上げ可能性を示唆https://news.yahoo.co.jp/articles/70097333c399fbbee7300434b36c11e3289fb840

日本が利上げを行わずに先に米国が利上げをした場合、日米金利差はさらに拡大するので円安に歯止めが効かなくなるだろう

その場合輸入物価が上昇し、さらに悪性のインフレ、スタグフレーションが進行することになる


・為替介入は一時的な処置にしか過ぎない

・日米金利差は縮まるどころか拡大する可能性が出て来た

「激変緩和処置」の限界

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電気・ガスガソリン・軽油・灯油・重油・航空燃料まで対象に実施しており、規模的に言えば数千億円/月規模で累計は11兆円という報道も出ている。

国防費と変わらない金額である

当然このような金額をいつまでも税金で負担しておくわけにはいかない。結局出している懐は国民の財布で変わりないからだ。

CPIなどの経済指標をゆがめ、金融政策を誤らせる原因になる

自民党内からも廃止の声が上がってきている


6.日銀は何を考えているか

以上みてきたように

・インフレ率は誘導目標値2%を大きく超える2.8%

・賃金上昇率は3%程度とインフレを上回ってきた

・今年の春闘の結果も大きな数字だった

・現在の政策金利は0.75%。一方インフレ率は2.8%なので2%ほど逆ザヤになっている

・米国金利の利下げ期待はなくなり、逆に利上げの可能性すら出て来た

・膨大な税金を使う「激変緩和処置」を継続することにいろいろ支障が出てきている


この状況かではおそらく日銀は「超低金利を続ける合理性がまだあるのか」と考えているハズである

利上げはリスクを伴うが、上げないことによるリスクの方が大きくなっている